鳥凧大集合
2019.10.26.27 茨木県・取手市
九月下旬の台風15号、10月に入り19号が上陸し、しかも大会前日も大雨と、河川敷で大会を開催するには足下が不安な天候が続いた。大会当日は当初予定していた場所より500メートル下流の水はけのよいクローバ広場に変更されて無事開催の運びとなった。大会当日は曇天ほぼ無風で、ときおり弱い風が吹くと、待っていたようにたくさんの凧が揚がった。
恒例の凧大集合のテーマは、取手にちなんで「鳥凧大集合」となった。取手はかつて鳥手とも書かれたことがあるいう。取手市の市鳥はフクロウだそうで、福太郎というキャラクターもある。
まず26日の前夜祭で、鳥凧を持ち寄った28人がそれぞれ、自分以外の凧で「これは素晴らしい」という凧に褒めシールを貼りあった。このポイントが有頂天、須弥山を決める点数となる。そのほか一般の参加者から野次馬シールを貼ってもらい、同点になった場合のポイントとして活用させてもらった(野次馬シールのポイント数は括弧内の数字として示してある)。褒めシートに揚がった状態の写真が貼ってある場合はプラス8ポイントであることは、これまでどおり。展示でシールを貼り終えた褒めシートは、回収されポイント数が勘定される。そして翌日に記念撮影をして会報へ掲載。また褒めシートと写真は後日参加者へ郵送されるという流れである。
それでは取手に集まった鳥凧とその作者をご覧ください。もちろん凧自慢は褒めシートに書かれた文章です。
伊地知英信
フクロウ凧
中川弘(千葉県)
取手市の市の鳥フクロウのフクタロウ凧です。アメリカ伝統のスリー・スティック(3本骨)の凧の一種でバーン・ドア・カイト(大納屋の扉凧)と呼ばれる凧です。尾なしでも揚がり、同じ長さの3本の竹ひごを使用しており、凧作り教室で作る凧としても適しています。
8ポイント(1)
アマツバメ
伊地知英信(東京都)
秋の嵐のまえの夕方、群れをなして家の近くを飛んでいたアマツバメに感激。年に一度みられるかどうかの群舞でした。高速で飛ぶ鳥として有名。凧としてシンプルなデザインと骨(ボウ・カイト)と糸の組み合わせで可能性を探ってみました。
18ポイント(5)
ハクトウワシ
木村俊夫(岡山県)
ワシら三兄弟取手の空を楽しみます。弱風で揚がるように作りましたが、もちろん強い風でも揚がります。
※木村さん急用のため大会を欠席。褒めシートだけ郵送で参加されました。
8ポイント
つばめ凧
吉田武久(東京都)
会報第95号の石川勇一さんのつばめ凧を参考に厚めの和紙で製作してみました。糸目位置がとても難しかったです。上、下糸目はほとんど同じ位置にある。風は風速5mほどの風速で良く揚がりました。
18ポイント(1)
六郷とんび凧
水上由貴(埼玉県)
これまで作った中で最大の凧です。揚がると遠くから見ても本物の鳥のように見え、通りがかりの人たちが「凧だったの!」とビックリします。
つばめ凧
藤﨑謹治(千葉県)
虹を越えて悠々と秋空に舞いました。
8ポイント(2)
六郷とんび凧
天野誠二(東京都)
六郷とんび(大とんび)の組み立て式です。3分割なので持ち運びに便利です。片はねをはずして展示しました。
(6)
川越扇凧
裏川一雄(埼玉県)
凧は、川越の伝統凧です。図は、夕陽の海の波に映える白鳥をイメージしました。白鳥の図は、若冲の絵を参考にしました。扇凧の骨は、真竹の柾割りを基本に削り、左右バランスよく作りました。骨は厚さをもたせ、中風まえ対応するようにしました。
(3)
大手凧 鳥になった私
寺田敏明(埼玉県)
自画像凧です。子供凧作り用に作った見本凧ですが受けました。
8ポイント(1)
蝦夷ふくろう
新戸部啓二(東京都)
私の好きな和凧のひとつに新潟の盃凧があり、10年前によく作って揚げていました。今回、紙は破れ、放置しておいた骨組をリニュアル。ふくろうの鳥の形にしました(私の経験から、この凧は翼端の凹部分が、深すぎず、浅すぎず、がポイントと思います)。重量を軽く仕上げて、弱風対応となりました。
8ポイント(2)
円筒凧
福井栄(大阪府)
ヨチヨチと歩くペンギンも、ひとたび海に潜ると、まるで空を飛ぶように泳ぎます。その姿を円筒凧に描きました。ペンギンの切手にめぐりあえたことで、永年の願い続けていたことがかないました。
18ポイント(13)
やっこ凧
高橋善次郎(千葉県)
2本糸目で下糸が左右にスライドできるように作ってあります。飛翔は抜群です。
8ポイント(1)
角凧(ミミズク)
高橋義男(千葉県)
初参加です。宜しくお願いいたします!
8ポイント(2)
トンビ凧
小倉弘毅(埼玉県)
輝く目玉。軽く開いたきれいな口が自慢です。
A式イーグルカイト・フェニックス
庄子明宏(宮城県)
東日本大震災以降発足した歴史の浅いグループです。自分たちの個性的な凧が作りたくて様々な凧を試作しました。初めは板橋の袖凧から振り袖凧を作り袖凧の難しさに泣きました。その後、袖凧を基本に盃凧、江戸凧、田原凧などのメリットを取り入れT式イーグルカイトとA式イーグルカイトを完成させました。T式は10月に開催したスカイ・ハイおおひら2019第8回みやぎ福幸凧あげ大会のポスターにし、切り取って作れるようにしました。オークションに2枚出しますのでご覧ください。
(4)
闇夜の烏
川上利久(大分県)
夜の凧揚げに使用するためサイズを大きくしたデルタ凧です。強風のときは3か所にテールをつけます。
8ポイント
夫婦カモメ
遠藤裕己(新潟県)
二羽の夫婦のカモメが同時に飛翔します(棒で凧を分岐)。ポリシート、組み立て式。安価で飛翔安定。シンプルで軽量が自慢です。
8ポイント
ペンギン凧
永由辰春(長野県)
空の空中分離式はノーベル賞ものかも(会報第80号発表)。凧の外側を動かす仕掛は特許ものかも(今回の鳥凧大集合)。「俺、ペンギン」小さな翼を精いっぱい動かして空を飛びます(背面のプロペラ動力で翼が上下します)。裏の仕掛けをよく見てください。
38ポイント(4)
鳥凧
大野研介(東京都)
今回もあわてて作っての参加です。親子で共同製作です。
カラス天狗
柴田利昭(東京都)
鳥居清長の錦絵「きんたろうのたこあげ」より金太郎が揚げていたカラス天狗の凧です。
8ポイント(3)
福太郎
茂出木雅章(東京都)
取手市の鳥シンボルマーク「フクタロウ」です。日本の凧の会のこれからも多くの福がありますように!
YAPPY BIRD
仲間清隆(沖縄県)
凧作り教室用に、紙を折ることで比率を変化させることができるやっぴー凧の横長バージョンです。ミニから大凧まで十文字の交点(糸目中心)に糸を結ぶだけで揚がります。凧紙はもとより包装紙、レジャーシートなど素材を選びません。骨も竹、木、カーボンなんでも可。翼だけで飛んでいるように見えることが自慢です。
18ポイント(5)
クバの凧
天然の左右非対称の木の葉を1本糸目で揚げるのが自慢です。
18ポイント(3)
コワイトリ
骨・内山日出男
絵・内山弘史(東京都)
よく揚がります! 桜井の福助を眺めていたら羽が生えているので鳥のデザインにしてみました。
8ポイント(5)
うなり付き眼廻しフクロウ
表谷 昇(石川県)
フクロウ凧に眼廻しとうなりを付けたものです。作成にあたり普通に作るよりも粗雑かつ技術のレベルの高さを見せるために、工夫しました。
18ポイント(11)
立体鶴亀
寺岡好徳(石川県)
亀をイメージした立体凧に鶴のイラストを乗せました。鶴は千年亀は万年の諺に併せて参加の皆さまが幸せになることを祈念いたします。
28ポイント(10)
トキ
永田賢吾(愛知県)
新潟鳥凧作りに挑戦しました。製作日数は概ね4週間。とても作り甲斐があります。作業中は「揚がる」「揚がらない」半信半疑でしたが、揚がったときの気分は爽快です。皆さんも作ってみませんか?『新潟鳥凧の会』が懇切丁寧に指導してくれます。 18ポイント(20)
日の出に鶴
杉浦忠幸(愛知県)
飛び入りで目出度い凧を参加させました。どうぞ幸田の凧をよろしく。
フクロウ凧
北岡竜行(神奈川県)
煤竹で作った名古屋古流凧の福助をベースにオリジナルのフクロウの図を描きました。
今回の鳥凧大集合の有頂天は、38ポイントを集めた「ペンギン凧」の永由辰春さん。そして28ポイントを集めた「立体鶴亀」の寺岡好徳は、須弥山となった。有頂天には1,000万円(の付箋)、須弥山には林檎(青森の皆さん提供)と絵はがき(柴田さん提供)が贈られた。
ちなみに第41回心護杯には、鳥凧大集合に参加したA式イーグルカイト・フェニックス(庄子明宏・宮城県)が見事選ばれた。その大会のために新作の凧を作ってくるという意味でも凧大集合の役割は大きいと思われる。
有頂天の永由さん
須弥山の寺岡さん